第一戒武士道といふは、死ぬ事と見附けたり
第二戒二つ二つの場にて、早く死ぬほうに片付くばかりなり
第三戒図に当たらぬは犬死などといふ事は、上方風(かみがたふう)の打ち上りたる武道なるべし
第四戒「毎朝毎夕、改めては死に改めては死ぬ」
第五戒恋の至極(しごく)は、忍ぶ恋と見立て申し候
第六戒一生忍んで、思い死にする事こそ恋の本意なれ
第七戒本気にては大業はならず、気違ひになりて死に狂ひするまでなり
第八戒不仕合せの時、草臥(くたぶ)るる者は益に立たざるなり
第九戒必死の観念、一日仕切りなるべし
第十戒同じ人間が、誰に劣り申すべきや